辨 |
Hosta sieboldiana は、もともとは花茎が葉より短い栽培品トウギボウシに与えられた学名。
Hosta sieboldiana は野生のものにも変異が大きく、また様々な品種が作られている。
トクダマ var. condensata(H.tokudama, H.sieboldiana var.glauca)
クロナミギボウシ var.fluctuans(H.fluctuans)
ナメルギボウシ var. glabra 新潟・富山・長野(北部)・隠岐産
ハガクレギボウシ var. hypophylla(H.sieboldiana 'Hypophylla')
クロギボウシ var. nigrescens(H.nigrescens) 花は半開するのみ
オオバギボウシ(トウギボウシ・レンゲギボウシ) var. sieboldiana(H.montana, H.elata,
H.crassifolia, H.fortunei)
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ギボウシ属 Hosta(玉簪 yùzān 屬)は東アジア特産、暖帯~亜寒帯に25-30種がある。
バランギボウシ H. × alismifolia
カンザシギボウシ(イヤギボウシ) H. capitata(H.nakaiana)
ツボミギボウシ H. clausa
サクハナギボウシ var. normalis(H.ensata)
H. cathayana(凱氏玉簪・契丹玉簪)
サザナミギボウシ H. crispula
オタフクギボウシ H. decorata
H. ensata(東北玉簪)
ラッパギボウシ H. hippeastrum
ウラジロギボウシ H. hypoleuca
H. kikutii(菊慈玉簪)
アワギボウシ var. densinervia
ヒュウガギボウシ var.kikutii
ザラツキギボウシ var. scabrinervia
トサノギボウシ(ウナズキギボウシ) var. tosana(H.kikutii var.caput-avis,
Hotosana, H.caput-avis)
スダレギボウシ var. polyneuron
キヨスミギボウシ H. kiyosumiensis(H.densa, H.pachyscapa)
サジギボウシ H. lancifolia
H. longipes(長柄玉簪)
オヒガンギボウシ var. aequinoctiiantha(H.aequinoctiiantha)
サイコクイワギボウシ var. caduca
ヒメイワギボウシ var. gracillima(H.gracillima)
イズイワギボウシ(ハチジョウギボウシ・アマギギボウシ) var. latifolia(H.rupifraga)
イワギボウシ var.longipes(var.vulgata)
ミズギボウシ H. longissima
ケイリンギボウシ H. minor(小玉簪) 朝鮮産
H. plantaginea(玉簪)
タマノカンザシ var. japonica
マルバタマノカンザシ var.plantaginea(玉簪・棒玉簪・玉春棒・白鶴花)
スダレギボウシ H. polyneuron(H.kikutii var.polyneuron, H.kikutii var.yakusimensis)
ウバタケギボウシ H. pulchella
セトウチギボウシ H. phycnophylla
サクラギボウシ H. sacra
シコクギボウシ H. shikokiana
H. sieboldiana(園葉玉簪)
オオバギボウシ(トウギボウシ) var. sieboldiana(H.montana, H.elata, H.crassifolia)
コバギボウシ(広義) H. sieboldii(白邊玉簪,báibiān yùzān)
タチギボウシ var. rectifolia(H.rectifolia)
var. sirboldii
コバギボウシ f. spathulata(H.helonioides, H.rohdeifolia f.viridis,
H.ibukiensis, H.albomarginata, H.calliantha; 紫玉簪)
アキギボウシ H. tardifolia(H.sparsa)
コガラシギボウシ var. tortifrons(H.tortifrons)
ナンカイギボウシ H. × tardiva(H.cathayana)
ナガサキギボウシ H. tibae 朝鮮産
H. tsushimensis
ツシマギボウシ var. tsushimensis
ナガキギボウシ var. tibae(H.tibae)
スジギボウシ H. undulata(波葉玉簪)
オハツキギボウシ var. erromena
ムラサキギボウシ H. ventricosa(紫萼・紫玉簪)
オトメギボウシ H. venusta(秀麗玉簪) 朝鮮産
フギレギボウシ H. yingeri
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ギボウシ属 Hosta の植物は、変異が多く分類が難しいらしい。
「ギボウシ属の種は、多型で園芸品種も多く、かつては種が細分されていたが、地理的な変異を考慮すれば、日本の自生種は13種程度に整理される」(『世界大百科事典』)。
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キジカクシ科(クサスギカズラ科) Asparagaceae(天門冬 tiānméndōng 科)については、キジカクシ科を見よ。 |
訓 |
和名ギボウシ(ギボウシュ)は、若い花序の形(一説に葉の形)を擬宝珠(ぎぼし,ぎぼうしゅ。廊下の欄干の柱などにつける宝珠形の装飾)に擬えて。 |
一説に、ぎぼしは ぎぼ(葱穂)の転と(幸田露伴『評釈猿蓑』岩波文庫1937、p.153)。 |
別名に含まれるガイロッパ・オンバクは、オオバコ。
ウルイは、本種の日光方言。 |
『大和本草』玉簪花に、「京都ニテ高麗ギボウシト云、筑紫ニテサギ草ト云、是紫萼也、玉簪ト一類別物也」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』13(1806)に、玉簪は「チヤウセンギボウシ トウギボウシ カウライギボウシ京 ギボウシ筑前 メンバ佐州。児戯ニコノ葉ヲモツテ仮面(メン)トス。故ニ名ク ウルイサウ江戸 ギボウシユ越後」と、また紫鶴・紫萼・紫簪は「ギボウシ京 サギサウ筑前 アマナ越後 サジギボウ和州 ツチレンゲ羽州 ワスレグサ防州 イハナ勢州」と。国産・外国産の区別を含めて、これらの名で呼ばれたものがどの種に当るのかは不明。 |
説 |
北海道・本州(東北・関東・中部の太平洋側山地)に分布。
オオバギボウシは、「株全体は生育地によってその大小が大いに違い、別種かと思われるほどである。」(牧野)
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ヨーロッパへは、1712年ケンペルがコバギボウシを Joksan(玉簪の訛)として紹介。1789年ころヒッペルトはタマノカンザシとムラサキギボウシを紹介。1830年ころトウギボウシ・スジギボウシ・フクリンギボウシが日本から渡る。これより盛んに改良され、流行した。 |
誌 |
嫩葉は茹でて食用とし、またそれを乾燥したものを山乾瓢(やまかんぴょう)と呼び、保存食物として用いた。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「ぎぼうし 末。花桜いろ」「唐ぎぼうし 初。さくらいろ。葉ハ手つよくして、立花ニつかふ」と。 |
擬宝珠の長き花茎(はなぐき)ひとつ立ち日のゆく道に傾きはじむ
(1938,齋藤茂吉『寒雲』)
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